見返して

当時世界記録を持つ、我が「ストーク」を無視し、基本に戻って考える 発想は何処にあるのでしょう。日頃の食物や環境が違うのか、慣習が違 うのか解りませんが、明らか日大グループの設計思想とは違っていまし た。

日大の中にはゴッサマーコンドル的発想を持つ者も少数派ながら居たの は事実ですが、大きな声にはなり得ませんでした。

我々「ストーク」は、過去の良い例を見つけ出し、徹底分析の後、最適な 改良を加えました。その結果、まるで職人芸のような繊細な飛行機を 作り上げました。

材料は、手すきの和紙(ガンピ)、絹糸、桧、バルサを多用しました。 日大はプロペラだけは早くからグラスファイバー、カーボン等の新素材 を採用してきましたが、「ストーク」では模型愛好家に依頼してバルサの無垢から 削出しとしました。結果として、新素材は全く使用しませんでし た。

「ストーク」は、在来人力飛行機の構想を踏襲し、徹底的にリファイン し、ある意味ではこの考え方の頂点に立った飛行機だったと言えるかもしれませ ん。

前述しましたが、本機「ストーク」は国立科学博物館(上野)に吊り下げ られていますので、破れた和紙の隙から手の込んだリブや骨組みをご覧 になれると思います。


「ストーク」3面図


「ストーク」の主翼のリブ組の様子。