操縦系の半自動化

人力機「ストーク」の設計段階の頃、パイロットの負担を少しでも軽減 させる目的の、「操縦系の半自動化」とかいう題名のレポートの話で す。(自分のレポートですが、残念ながらもはや手元にはありません)

内容は機体の姿勢検知 :超音波センサーを両翼端と機尾に装着し、そ の反射時間から得ます。
操舵動力 :電圧比例動作のサーボモーターを使用。
シーケンス :アナログアンプ(オペアンプ)を使用。
という構想でした。

超音波センサーは40KHzの村田製(松下だったかな)に直径40mm長さ60mm 位の円錐のホーンを取り付け、距離8m位まで数センチ単位の分解能でし た。発信は40Vp-p位の正弦波を与え、受信処理は周期内の先着パルスで 距離換算します。
周期というのは、各センサーに40〜50msの時間を与 え、その持ち時間内に発信から受信(先着パルス)処理をおこないます。 ですから一巡に120〜150msの時間を要します。センサーの同時発信は受 信処理が大変難しくなってしまうため避けます(混信)。
先着パルス受信時までに上がった電圧をホールドして距離換算電圧とし ます。
サーボはラジコン用のアナログサーボ(入力電圧0.5vで45度位だったか な)です。回路が確立されていて、とても信頼性が高く扱いやすいもの でした。

シーケンスは難問でした。左右の距離換算電圧は差動増幅で横操縦へ。 左右電圧を加算増幅して後ろセンサーからの電圧と差動させてピッチ操 縦の出力とします。
トータルとしての適正ゲインや負帰還量等々、課題そのものが不透明で した。レポートにはこの辺の悩ましいくだりがあったはずです。

味見実験を踏まえていたので、一部説得力がありましたが、定常飛行す る人力機の姿を誰も実感として持ってない(知らない)時代でしたから、 まだ受入れられにくいテーマでした。
まず浮くことが課題で、それどころではなかったというのが本音でしょ うか。

飛行中の必要馬力の計測に関するレポートもあったかと思います。


結局、電子化の応援はありませんでした。カウルを外した「ストーク」(1976年)。